NETIS(新技術情報提供システム)登録の流れ
1. 事前準備
NETIS申請者IDの取得(事前審査)
NETISオンラインシステム利用のためのIDとパスワードを取得します。これは本申請に先立つ事前審査の役割も果たし、申請者の基本的な情報を確認します。
登録要件の確認と技術内容の整理
貴社の技術がNETISの登録要件(新技術性、成立性、実用化、公共事業への適用性、活用効果)を満たしているか確認します。従来技術との比較や、効果の裏付けとなる客観的なデータ(試験結果、実績など)を整理し、申請に必要な資料を準備します。
2. 申請書類の作成と提出
NETIS申請システムの利用
取得したIDでNETIS申請システムにログインし、オンラインフォームに必要事項を入力します。準備した技術資料(図面、写真、データなど)もシステム上で添付します。
申請内容の確認と送信
入力・添付が完了したら、誤りがないか最終確認し、システムを通じて申請を送信します。特に、技術の新規性や活用効果に関する記述は、審査の要となるため、明確かつ論理的に記載されているか注意深くチェックしましょう。
3. 審査と結果通知
書類確認と修正指示
提出された申請書類はNETIS事務局によって確認されます。不備や不明点がある場合は、修正指示が来ますので、指示に従って速やかに修正し再提出します。
技術評価とヒアリング
専門的な技術評価が行われます。必要に応じて、技術の詳細や疑問点を確認するためのヒアリング(説明会)が実施されることがあります。
審査結果の通知
審査が完了すると、登録の可否が通知されます。登録が承認されればNETISに技術情報が掲載されます。却下された場合は理由が通知されるため、今後の改善に役立てることができます。
4. 登録後の運用と事後評価
NETISへの掲載
登録された技術情報はNETISデータベースに公開され、全国の公共事業関係者が閲覧できるようになります。掲載期間は原則として登録の翌年度4月1日から10年間です。
活用効果調査と事後評価
登録技術は、公共工事での活用状況に応じて「活用効果調査」の対象となります。掲載期間が満了する際には「事後評価」が行われ、結果が優良であれば最長5年間(合計15年間)掲載期間が延長されることがあります。
また、技術内容に重要な変更があった場合や、新たな活用実績ができた場合は、随時情報を更新することが推奨されます。
NETIS登録における却下確率
1. 却下確率について
NETIS(新技術情報提供システム)登録における具体的な却下率は、公式には公表されていません。
NETISの申請プロセスは、不備があった場合に修正の機会を設けるなど、技術の登録を支援する仕組みが特徴です。そのため、却下の可能性は、統計的な確率よりも、申請技術の質、申請内容の正確性、そして申請者が審査プロセスにおいて示す対応の迅速性と丁寧さに大きく左右されます。
2. NETIS登録の主要な条件
NETISに新技術を登録するためには、以下の3つの基本的な条件を厳格に満たす必要があります。
2.1. 新技術であること
申請される技術が、従来の技術と比較して同等以上の活用効果が見込まれることを要求します。単なる軽微な設計変更や、性能に影響しない改良では、新技術とは認められません。
2.2. 技術の成立性について論理的な根拠があること
申請技術が公共工事において求められる性能や機能を有していることを、実験やその他の検証によって論理的に裏付ける必要があります。理論上の概念や計算結果のみでは不十分です。
2.3. 実用化されていること
申請技術が、利用者の要求に応じて実際に提供可能な状態にあることが求められます。開発途中で未完成の技術は登録対象外となります。
3. NETIS登録却下の主要な理由
却下される主な理由は多岐にわたりますが、以下のカテゴリーに分類できます。
3.1. 技術的欠陥
- 新規性・優位性の不足**: 従来技術との明確な差別化や活用効果が示せない。
- 性能データや試験結果の欠如**: 技術の性能を裏付ける客観的なデータが不足している。
- 開発中の技術または未完成の技術**: 実用化準備が整っていない研究開発段階の技術。
3.2. 適用範囲と対象に関する問題
- 公共工事への不適用: 公共工事や社会資本整備に直接関連しない技術。
- 申請者が開発者ではない、または詳細な製品知識の不足: 技術に関する詳細な質問に対応できない。
- 技術が市場単価化されている、または従来技術とみなされる: 既に広く普及し、新しいイノベーションと見なされない技術。
3.3. 手続き上および管理上の不備
- 申請書類の不備または不正確さ: 必要な様式不足、情報不十分、または修正指示への不対応。
- 同一技術の重複登録: 既に登録されている技術と内容が重複。
- 技術名称の変更、またはデータ管理の問題: 登録後の技術名称変更不可、申請データの自己保管義務怠りなど。
- オンライン申請における問題: 新しいオンライン手続き要件(事前審査など)への不対応。
3.4. 裁量的な要因
- 地方技術事務所と担当者の裁量: 審査基準の解釈や適用が、地域や担当者によって影響を受ける場合。
4. 却下リスクを最小限に抑える戦略
却下リスクを最小限に抑え、成功の可能性を高めるためには、以下の戦略が不可欠です。
4.1. 申請書類と裏付けデータの徹底的な準備
公式チェックリストを活用し、技術の「新技術性」と「技術的成立性」を証明するための明確で説得力のあるデータを用意すること。
4.2. 各登録基準の理解と対応
3つの主要な登録基準(新技術であること、技術の成立性、実用化されていること)を深く理解し、具体的な証拠で対応すること。
4.3. 自社実験と現場データの重要性
性能や効果を裏付ける堅牢な実験データ、特に管理された条件下での自社実験結果を優先して準備すること。
4.4. 専門家との協議
行政書士などNETIS申請に特化した専門家から、書類作成や手続き、基準の解釈に関するガイダンスを得ること。